コミックマーケット106アフターレポート
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会場
東京国際展示場
(
東京ビッグサイト
)(除く東1〜3ホール)
TFTホール
会期
2025年8月16日(土)〜17日(日)
サークルスペース数
サークルスペース数
約2万3千
入場者数
・
16日(土)
120,000人
・
17日(日)
130,000人
更衣室登録数
男性
女性
16日(土)
1,621人
3,347人
17日(日)
1,563人
2,663人
コミケット公式発行物
・
コミックマーケット106カタログ冊子版 表紙イラスト:
Anmi
・
紙袋(大) イラスト:
ideolo
出展企業数
・
121社
マスコミ取材
コミックマーケット106取材申込一覧
(2025年8月23日データ部分・取材申込一覧公開)
今年も猛暑の夏でしたが、開催前後の期間は暑さも一瞬落ちついた天候に恵まれました。夏の場合、コンビニもなければ日差しを遮る木陰もない東側の一般待機列が特に厳しい環境となるのですが、今回は熱中症対策として、冷房のよく効く東8ホール内を臨時休憩所として、待機列に並んでいる一般参加者に開放して一時的に涼んでもらい、瞬間冷却剤を約3万個配布したりもしました。天候やこれらの施策の効果もあり、救護室利用者は変わらず大半が熱中症ではありましたが、夏の開催での総数としてはかなり少ない数字に抑えることができました。とはいえ、熱中症により倒れた際に頭を打ったりするケースが何件か発生しており、中には救急搬送された方もおられました。自分の体を自分では支えられなくなる場合もありますので、体調が良くないときには無理をせず、倒れる前に周りの方やお近くの準備会スタッフへ、お早めにお声がけをいただけると幸いです。
2023年12月から始まった東京ビッグサイトの大規模改修工事ですが、2024年8月迄の会議棟の改修工事、2025年1〜6月の西展示棟の改修工事に続き、2025年7月からはついに東展示棟の工事が始まりました。2025年度下半期は東1〜3ホールが、2026年4月〜12月迄は東4〜6ホールが使用できません。この結果、使える場所も開催時期も必ずしもコミケットの希望が叶う状況とはなっていません。また、東地区ガレリアの幅も工事に伴う囲いで大幅に削減されており、導線が細くなっています。
この夏の参加者数は1日目13万人。2日目12万人ののべ25万人となりました。コロナ禍後最大の参加者数となった昨年の冬と比べるとマイナス約5万人ですが、昨年の夏との比較であれば約1万人減の数字です。気候の影響もあり、近年冬開催の方が参加者の集まりやすい傾向にありますが、特に昨冬は大晦日を外した日程が参加者増に繋がったところもあり、逆に、今夏は会場からの要請により開催日程が通常の夏より一週間遅かったことの影響もあるようにも思います。加えて、前述の大規模改修工事で東1〜3ホールが使用できず、代わりに南1〜2ホールをサークルスペースとしたものの、サークルの総数が大きく減少していますので、その分サークル参加者数も、そして、それらのサークルを目当てとした一般参加者数も減ることとなります。C107ではサークル申込スペース数が、コロナ禍後最大となったことも含め、準備会としては、コロナ禍後のゆるやかな回復基調が大枠としては続いていると考えています。
近年午前入場リストバンド型参加証の事前販売が当日を待たずにほぼ完売となっており、購入を希望される方に行き渡らないのも、申し訳なく思っています。こちらも一般待機列の面積により受け入れられる人数が制約されることと、前述の通り、大規模改修工事の影響で通路が狭くなっていて、展示棟間の行き来を考えると軽々に一般参加者の数を増やせないという事情があります。一般参加者の入場方法の見直しについては、大規模改修工事が終わり、導線が確実に確保できるようになった後に行いたいと考えていますが、深夜来場者がほぼいなくなった現状もあり、アーリー入場チケットについては、何らかの形での継続を考えています。
そして、この夏の最大のトラブルとなったのは、エスカレータの故障です。1日目の午前から、南コンコース・西4階間の全てのエスカレータが停止し、いったん復旧したものの再度停止、以後会期終了まで使用できませんでした。それゆえ、当初予定していた導線の予定を大幅に変更し、企業ブースから1階に降りるには、スロープや南展示棟のエスカレータを活用せざるを得なくなりました。やや自画自賛的にはなりますが、万一のエスカレータ停止時の代替案は事前に検討が行われていたこともあり、主導線のトラブルにも関わらず何とか対応することができました。とは言え、参加者の皆さんに多大なご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫びいたします。また、何よりも皆さんが準備会の指示に従って行動いただき、大きな混乱なく会期を終えることができたことに、深く感謝する次第です。
故障の原因については、先日会場より説明を受けています。詳細についてここでは説明しませんが、会場側も重大インシデントと認識しており、しばらくの間、メーカーが保守体制を強化したり、イベント開催時にはメーカー担当者が待機したりするとも聞いています。なお、準備会からも安全確保と安定稼働についての申し入れを行っています。
参加サークルのスペース数は2日間で約2万3千。1日目は 『ブルーアーカイブ』を中心にソーシャルゲームや VTuber 系のスペースに人気が集まり、2日目は創作系・男性向が賑わうという近年の傾向はこの夏も続いています。なお、サークルの皆さんにご注意いただきたいのは、C106ではサークルの荷物の盗難が複数発生していることです。必要に応じて、前日搬入には立ち会いをいただき、搬入物全体にシート・ラップ等をかぶせる、搬入物全体をガムテープ等で巻いてしまう等、サークル側の自衛をお願いします。
西4階・南4階に配置された企業ブースには、121社が集まりました。サークル同様にソーシャルゲーム関連のブースが人気を博していましたが、小久保製氷冷蔵でのロックアイスの販売、IRIAM COOL OASIS、pixivの海の家をモチーフとしたC106休憩所、ワカヤマの消臭ゲート等、夏コミ向けの暑さ対策に関連した企画が、マスコミにも大きく取り上げられていました。
コスプレについては、南1〜2ホールをサークル配置としたこともあり、会議棟をビッグサイト内の更衣室とし、また、コスプレ先行入場の更衣室にTFTホールを充てる対応となりました。コスプレエリアは、東8ホール内外、屋上展示場に加え、久々に庭園を活用しています。冬から夏ということで、どうしても更衣室の登録数は減ってしまうところはあるのですが、今回もなかなか他のイベントでは見られないコミケットらしいコスプレに出会うことができたように思います。
コスプレを、準備会としてもサポートして盛り上げようと、従来からのコスプレエリアの『フォトスポット』や『フォトフロップス』を使った撮影や、更衣室出口付近でのコスプレ衣装の簡単なお直しコーナー『コスプレさいほうばこ』、事前のSNS告知用の『コスプレ参加表明テンプレート』といったコスプレに関わる各種の企画を今回も引き続き行っています。(『
コミックマーケットn日目
』)。
その他、コスプレ関連以外にも各種企画も引き続き行っていますが、「いつからコミケに参加したのか」のアンケートを取ったり、歴代のコミックマーケットカタログの表紙やスタンプラリーのスタンプを一同に集めての展示を行ったりと、50周年にちなんだ企画をいくつか行っています(詳細は『
コミックマーケット106 準備会企画フォトレポート
』参照)。C106直前の7月には、50周年記念のロゴマークも発表しています。C100に続いての企画とはなりますが、原則どなたでも無料で自由に使用が可能ですので、是非ご活用いただければと思います。夏コミで出された同人誌にも、既にロゴマークが入っているものが沢山あり、大変高揚した気分となりました。C107でも、記念グッズの販売等50周年をフィーチャーした企画を行いますので、お楽しみに。
最後はSNSについてです。コミケットは、Xで公式(
@comiketofficial
)、ちょっと緩めのn日目(
@comiket_air
)、コスプレ(
@comiket_cosplay
)、海外向け(
@comiket_intl
)、50周年記念(
@cmk50th
)といったアカウントを運用しています。その中で当日、配慮の足りない投稿があり、ご批判をいただきました。具体的には、「新刊を完売させて並んでいる人を怖がらせましょう!」というネットミームのパロディを描いた掲示を準備会スタッフが行い、それを@comiket_airが撮影してポストしたという事案です。一般参加者のことを考えれば、不適切な発言であることは言うまでもなく、描いたスタッフもそれをアップしたスタッフもその事に想いが至らず申し訳ありませんでした。堅苦しいばかりではなく親しみやすく機動的な情報発信を目指す一方で、面白さと悪ふざけを判断する必要があるのはSNS運用の難しさでもありますが、より丁寧な対応を行うように、当該部署には改めての説諭を行っています。
一方でスタッフの活動が切り取られて、ネットで話題になったこともありました。こちらは、コミケ外でトラブルが起きたサークルの隣のサークルの混雑対応をしていたスタッフが、コスプレの格好で、そのトラブルを起こしたサークルスペースと一緒に写真を撮られてSNSにアップされてしまい、まるで悪ふざけをしているように見えてしまった、というものです。普通に業務をしていても『切り取り』されてしまうことはありますし、ましてやこの一件を持ってスタッフがいわゆる『ネタコス』をしてはいけないと制約をかけたりするのは、コミックマーケットらしくないと我々は思っています。
様々に難しい問題がありますが、できる限り楽しくコミックマーケットという『ハレの場』を作っていきたいと思っていますので、我々準備会のみならず、参加者の皆さんも含めて、ネットでの情報発信については、考えていけたらと思う次第です。
(2025年11月25日本文公開)
[Since: Aug. 20, 2024] [Updated: Nov. 25, 2025]